2010年11月

TPP議論の行方

 11月7日から8日間開催された横浜APECが14日閉会しました。日本は1995年の大阪開催以来となる議長国として21ヵ国を迎え、その責任を果たしました。


 尖閣諸島や北方4島の問題で注目された「中国やロシアとの会談」、「TPPへの言及」が連日紙面を賑わせていたのはご存じのことかと思います。聞き慣れない“TPP”という言葉、日本語では“環太平洋経済連携協定”。2006年にシンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイの4カ国で発効された自由貿易協定のことで、2008年以降、米国、豪州、ペルー、ベトナム、最近マレーシアの参加も決まり、現在9カ国で交渉を進めている協定です。その内容は『物品貿易については原則100%の関税撤廃、サービス貿易、政府調達、競争、知的財産、人の移動等を含む包括的な協定』を目指すとされており、「21世紀型の貿易協定」と呼ばれています。今後もっとも有力な経済協定になると言われるTPPに日本も参加をするか否かについて、この数週間注目をされていたということです。メリット・デメリットは多々あるわけですが、議論の中心になったのは「100%の関税撤廃」。平たくいえば車や電気機器などの輸出産業にはメリットが多く、高い関税で守られている農作物を扱うような産業にとってはデメリットに働くと考えられています。


 政府はTPPの交渉に参加をする意向を伝えました。貿易自由化が加速すれば国内農業が壊滅的打撃を受ける可能性は高く、一方、現状維持でTPPに参加をしなければ、国際競争に遅れをとるとともに、この協定が仮に国際基準となったとき、他国へ有利に作られたルールの中で外交を強いられることになります。賛否両論がありますし、一言に決断することは困難です。しかし遠くない将来、隆盛な新興国や先進諸国と日本が対等な国際競争力を持つために、短期・中長期的なビジョンを持って国内農政も考え、世界の動向に流されることなく国益を見据えた外交政策に取り組まなければならないのです。この問題をこれ以上先送りにしないことが何より大切なことだと考えます。足踏みすることなく、強い気持ちで前を見据え、建設的・発展的な議論を尽くすことが必要なのです。